被告(東電)は、以下の書面を提出しました。
以前からの経緯がわからないと、読みにくい資料ですが、全般的に逃げに終始した消極的な反論という印象です。
いつか、論点を整理してUPしたいと思います。
素人ながら、取り急ぎ思いつきで以下気になったことを付記します。
乙第12号証p9-p10の、「年間20ミリシーベルト被ばくすると仮定した場合の健康リスクは、例えば他の発がん要因(喫煙、肥満、野菜不足等)によるリスクと比べても低いこと、放射線防護措置に伴うリスク(避難によるストレス、屋外活動を避ける事による運動不足等)と比べられる程度であると考えられる」という文章を何回か引用していますが、そもそも、被ばくと、放射線防護措置に伴うリスク(避難によるストレス、屋外活動を避ける事による運動不足等)のリスクを比較しなければならないのか、不思議でなりません。
どちらも、被告がもたらした災難であって「俺があんたを殴って怪我させたかもしれないが、あの状況で俺のパンチを避けていたら溝に落ちていたのでどうせ怪我をしたのだから同じだ」というような論理に思えます。
「本件事故以前には,原発のような大規模原子炉の爆発はチェルノブイリ原発事故以外になかった。従って,1号機爆発は,本件事故が人類史上2番目の規模に進展したことを誰の目にも明らかにするものであった。」という原告の主張を不知と主張するのは、裁判技術上普通のことなのかもしれませんが、なんとも複雑な思いがします。
被告準備書面2の4(7)ウで述べた「4号機の原子炉建屋の補強工事は、燃料プールの安全性に問題があったからではなく、燃料プール底部の耐震性をより高めることを目的としたものである。」を再度主張していますが、では安全性に問題がないならなぜ耐震性を「より高める」必要があったのでしょう?
「使用済み燃料は取り出し後数年間は大量の熱を発生するので冷却し続ける必要があり,冷却しないと炉心と同様に溶融する。この場合,炉心溶融と同様に,大量の放射性物質が放出される。しかも,燃料プールには炉心を超える大量の燃料が保管されていた上,圧力容器も格納容器もなく,防護壁となりうるのは原子炉建屋のみであるところ,4号機建屋の壁は爆発で大破していたのだから,燃料プールは環境に露出していた。」という原告の主張に対して、「不知ないし争う」と主張するのは、本気であれば原子炉の原理を理解していないのではないかと思ってしまいます。
結論として、「原告の主張する不安感や心労は本件事故と相当因果関係があるということはできない」と主張しています。
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